ペンローズ博士ノーベル賞受賞記念
ロジャー・ペンローズ博士が、2020年ノーベル物理学賞受賞したことを記念して、当協会メンバーから寄せられた関連トピックをご紹介します。
ノーベル物理学賞受賞に寄せて / ペンローズ・タイル / ペンローズ・トライアングル
ロジャー・ペンローズ博士が、2020年ノーベル物理学賞受賞したことを記念して、当協会メンバーから寄せられた関連トピックをご紹介します。
2020年10月、ロジャー・ペンローズのノーベル物理学賞のニュースが飛び込んできた。ペンローズとは物理学者でもあったのか!あのペンローズとこのペンローズは同一人物だったのかと、その研究の守備範囲の広さに驚かれる方も多かったようです。(父ライオネル・ペンローズとの共同研究もあり)
かのM.C.エッシャーもペンローズの影響を受けた一人です。エッシャーは、不可能図形やテセレーションに関するペンローズからのお題に基づいた作品を制作しています。惜しいことにペンローズ・タイルが発見されたのはエッシャーの死後のことです。
日本テセレーションデザイン協会にもペンローズに多大な影響を受けたメンバーが多くいます。ペンローズが提示した不思議なお題を、メンバーはそれぞれのアプローチで理解し、表現してきました。
この特設ページでは、そんな当協会メンバーのペンローズ愛に溢れるメッセージや作品をまとめています。各メンバーの作品は、単にペンローズの結果をなぞるだけではなく、新しい表現や組み合わせへの果敢な取り組みです。このページをご覧になった方の新しい探究の刺激になり、新たなノーベル賞受賞者がうまれるかもしれませんね。
テセレーション(タイリング)の分野に関わっていると,なにかとペンローズタイリングの話題に触れる機会があります.このペンローズタイリングは,ブラックホールに関する研究で2020年のノーベル物理学賞を受賞したロジャー・ペンローズ博士が1970年代に見つけた強非周期的タイリング(Aperiodic tiling)であり,2011年のノーベル化学賞「準結晶の発見」の準結晶の数学モデルとしても有名です.ペンローズ博士はこのように物理学と数学において数多くの功績を残していて,私が博士の名前を知った切っ掛けは今回の受賞対象となったブラックホール関係の研究だったりもします.
対となった二種の形を理解。 磨き増す依願し、平面埋め、問い。 ペンローズが特異点説明か? 波ずらし。 若き時、エッシャーへ不可能図形伝えた後、 「滝」出来た。地の絶え立つ生簀。右(う)の下部。 疫(え)や疾疫(しつえき)時かは知らず、皆壊滅。 先手行く!解かず論へ挑め、運命へ! 侵害す巻紙、怒り落ちた。 彼の諭旨(ゆし)に立つなと、何時(いつ)?
ついとなったにしゆのかたちおりかい みがきますいがんしへいめんうめとい へんろすかとくいてんせつめいかなみずらし わかきときえつしやえふかのうすけいつたえたのち たきできたちのたえたついけすうのかふ えやしつえきときかわしらずみなかいめつ せんていくとかすろんへいとめうんめいへ しんがいすまきがみいかりおちた かのゆしにたつなといつ
1997年、ロンドンのハムレイズというおもちゃのデパート(5F)で、いろいろなパズルを見ていた時のこと。ふと奥の棚の最上部に、鳥の模様のパズルらしき物を発見した。ペンローズ・タイルを応用したもので、「pentaplex」といい、ペンローズ博士の解説も付いていた。結構な値段だったが、残り3箱すべて買って帰ったのだった。かさばるし、重い。
1998年に村田機械株式会社の招待でペンローズ博士の講演があった。会場は物理学者らの申し込みが殺到したが、私は席を村田氏から2人ぶん確保していただいた。ところが当日重要な案件が入り、私の代わりに妻と息子(当時14才)を行かせることになった。その折、ハムレイズのタイルを色紙に張り、息子に「もしサインをお願いできたらこの上に頼む」と伝言しておいた。
さて当日、司会者が冒頭に「ペンローズ博士は多忙ですので、控室にはどなたも入れません」とのアナウンスがあり、講演がスタートした。会えそうもないので、妻と息子は係の人に色紙を渡し、本人にお見せして下さいと尋んだところ、しばらくしてその係の人が「あなたたち2人、中に入って下さい」と招き入れ、ペンローズ博士と話ができたのであった。
この色紙の裏には、ペンローズ博士のサインが残っている。
そもそも私がペンローズ・タイルに魅せられたのは、1977年の「サイエンティフィック・アメリカン」の表紙を見て以来。ご存知マーチン・ガードナーのコラムでは、ペンローズ・タイルを解説していた号である。大学に入って間もない頃だったと思うが、それ以来ずっとペンローズの本などを読んでいた。
次図の左はサイエンス誌の表紙、右はペンローズ・タイルで作られたマーチン・ガードナーのポスター。カナダのある学会オークションでせり勝ったものである。
Martin Gardner - Master Puzzler
20" x 20" Archival Inkjet Print 2010Bruce Torrencehttp://gallery.bridgesmathart.org/exhibitions/2011-joint-mathematics-meetings/bruce今回は,2種類の菱形で作られたペンローズタイリングを2種類の凸五角形によって変換したタイリングのGifアニメを作ってみました(ただし,凸五角形は裏返したものも用いています).この図では凸五角形を使っていますが,凹五角形や(五角形が退化した)台形も使うことができます.アニメでは,それぞれの菱形を凸五角形で,2分割,8分割,32分割,72分割したものを使っています.
Seed and Skinny Seahorses
(c) Yoshiaki ArakiKindra & Gozzibe
(c) Ichiro TaniokaRabbits and Frogs (Prototype)
(c) Makiya Torigoe兎と蛙 (試作)
Rabbits and Frogs
(c) Makiya Torigoe鳥獣転紋様〈星〉・2011
700×700mm・阿波紙びざんEpson PX-H10000インクジェット出力[平面の正則分割]を利用した作品はその性質上、周期的なパターンを示す事がほとんでです。ところがこの作品の基となった[ペンローズの凧と矢]と呼ばれるパターンは、一定のルールに従って敷き詰める事で、非周期なパターンを生成する事が可能となります。それは通常の平面充填を超えたパターン、[超]充填紋様と言えるかもしれません。[超]充填・・・[超][獣転]・・・鳥獣転・・・っと、そこまで考えたら、モチーフは兎と蛙しかありませんでした。「踊る蛙」と「巻物を読む兎」。それらを、非周期に並べた〈星〉と、周期的な〈菱〉。また、兎の見ている巻物には「片牢圖(ぺんろうず)」の文字と「凧」と「矢」の図柄が描かれています。まるで、Escherの「物見の塔」に描かれた人物が、図面を足元に塔の構造模型を見ているように・・・
Fat and Skinny cats
(c) Makoto NakamuraPenguins and Fish (penrose tile)
(c) Makoto NakamuraCats and Fish (penrose tile)
(c) Makoto NakamuraRabbits, Foxes and Birds (penrose tile)
(c) Makoto NakamuraWeasels and Birds (penrose tile variation)
(c) Makoto NakamuraBears and Salmon (penrose tile variation)
(c) Makoto NakamuraFlowers, Leave and Butterflies
(c) Makoto Nakamura「飾り原稿用紙」という「飾り罫」のついた原稿用紙をデザインしています。いくつかバリエーションがある中で、錯視をテーマにしたものを作りました。その名も「金鶯錯(きんおうさく)」。「金鶯」は色のイメージ、「錯」は錯視を表しています。これはペンローズ先生へのオマージュを込めたもので、ペンローズの三角形をもとに組木状にアレンジしたものです。(当初はペンローズの三角形のように60度で組んでいましたが、縦横でデザインが変わってしまうので90度の配置としました。)組木模様を目で追いかけていくと、現実には有り得ない不可能な奥行きを持ってつながっていきます。
飾り原稿用紙
(c) @horirium不思議図(もしくは不可能図)として有名なのが、ペンローズの三角形(図-1A)。ブラックホールの研究で2020年のノーベル物理学賞に輝いた、サー・ロジャー・ペンローズ博士ですが、ペンローズ・タイルをはじめ、幾何学の世界でも超有名人です。その不思議図を応用した箱枠のようなグラフィックは、オランダの芸術家エッシャーなどが好んで使ったモチーフです。
T3パズルに親しんだ者として、この2つの図を色つきのT3パズルで作れないか、というのが今回のチャレンジです。